L`atelier du cuir

カメラストラップができるまで






革産業の起源は馬具から発展したと言われます。馬は自動車が普及するまでは絶対的な交通手段であり、重要な武器の一部でもあったようです。馬具の発展はヨーロッパが中心でした。
現在は世界の工場と言われる中国が中心になりつつありますが、革製品に使う牛は数が少なく、革産業の見地からは歴史的にも浅い国で、革材料を含め鞣しや染色に難点があるようです。
日本では特に明治以降馬具が必要とされ、革産業が発展しました。
ここにご紹介しますベルト産業も戦後急速に発展しました。しかし、ファッションの多様化や中国製の安価な商品に押され、今では衰退の一途を辿っています。
また製造機械も既に国内では廃業が相次ぎ、これも安価な中国製に変わりつつあります。
中国製の設備は精度や耐久性は劣るものの、価格は半額以下で手に入るため、その流れは止められないのが現状です。
国産の優秀な設備と熟練工による革ベルトは今だけの贅沢と言えるでしょう。

当工房の革ストラップは国内では数少ないベルトの職人によるものです。親方から引き継いで2代目になり、100年以上の歴史があります。過去には時計ベルトも作った経験もあり、カメラのストラップにもその経験が生かされています。
ストラップには以下にご紹介した箔押し機による「カメラワーク」の刻印が打たれています。






細切裁断機
面取り機
ローラー







1枚の革をベル
ト用に裁断しま
す。受注を受け
る単位は少なく
ても50本単位で
すから、一度に
沢山の本数を正
確に切る必要が
あります。

ここでは猫の首
輪用のベルトを
切断していま
す。本革で表は
派手な色から渋
い色まで選べま
す。

私達の猫にも付
けてみました
が、とてもシック
で上品になりま
した。

糊付け機とも言
われます。

裁断したベルト
の端の面取りを
行い、端のバリを
取ります。

面取り処理だけ
で、そのベルトの

技術レベルがわ
かります。

美しい面取りの
ベルトは使う度
に外出するのが
嬉しくなります。

ベルトの型出しを
して、形を整える
役目をします。

革ベルトの端に細
いラインを付けた
り、中心部を膨ら
ませたり、様々な
立体的な形を作り
ます。

この機械は親子二
代で作られて来ま
したが、最近廃業
してしまったそうで
す。


小端漉き機
厚物用ミシン
穴あけ機







革は天然の革を
鞣すことで、長期
に使うことが出
来る革材料にな
ります。革にはも
う一つ大事な工
程があって、そ
れが革漉きで
す。

革を漉くことによ
って様々な厚さ
に変えることが
出来ます。

厚さが均一にな
るよう小端を漉
いて整えます。

革の厚さによって
もう一台のミシン
と使い分けます。

最近ではコンピュ
ータミシンの方が
便利で効率は良
いのですが、昔
ながらの音に機
械式のカメラや時
計に似た絶対的
な安心感が感じ
られます。

ベルトの穴あけを
等間隔で行う機械
です。

最近売られている
ベルトはバックル
で長さが調整でき
るようになったも
のがほとんどで、
5つ穴がほとんど
です。

小口盤
かすがい機
腕ミシン







革小物を様々な
形状の型で木槌
で叩いて切り抜
きます。かなりの
力で叩きますの
で、台が重く固い
ものでないと使え
ません。

写真の小口盤は
欅の大木ででき
ています。

黒光りした木の
道具は年を重ね
た美しさと型抜き
に耐える力強さ
が伝わってきま
す。

ベルトの先端の
革を押さえるリン
グを繋ぐ為の機
械で、わかりや
すく言えば大きな
ホッチキスのよう
なものです。

最近では接着剤
が強力になった
ので、接着とステ
ッチで処理するも
のが多くなりまし
た。

立体的な縫い方
をする場合に腕ミ
シンを使います。

ベルトではバック
ルを固定するた
めに使うことが多
いミシンです。

バックルを直接
腕ミシンで縫い付
けてあるベルトは
あまり見かけられ
なくなりました。

実際使って比べ
てみますと、付け
心地が全く違うこ
とに気が付きまし
た。サイズ調整
が出来るバック
ルは金属の部分
が多く、重く、冷
たい感触です。
箔押し機












ベルトに文字を刻
印する機械です。

銅で型を作り好み
の色付けして熱で
プレスすることで、
字やマークを入れ
ることが出来ま
す。

現在販売しており
ますカメラストラッ
プにはこの箔押し
機で刻印したカメ
ラワークのマーク
が入っています。















  フォトアトリエ臥遊/モノクロフィルム写真工房 ・ カメラワーク/クラシックカメラ工房